長引く咳について
咳の症状が続く場合、さまざまな呼吸器疾患の可能性があります。下記のような症状がある場合にはできるだけ早めにご相談ください。
- 風邪は治ったのに咳がずっと続いている
- 数日間、熱はなく咳が続く・長引いている
- のどや気管に違和感がある(イガイカ・ムズムズ・チクチク・ヒリヒリ・カサカサなど)
- のどにかゆみがあって咳払いしてしまう
- 夜中や朝方など決まった時間帯や状況で咳が出る
- ちょっとした刺激で咳き込む
- 受診して治療を受けているのに咳が止まらない など
上記のような症状がある場合、最も多い疾患は咳喘息ですが、他にも副鼻腔気管支症候群、アトピー咳嗽、逆流性食道炎、喫煙による慢性気管支炎、感染後咳嗽、薬剤による咳嗽なども疑われます。また、肺結核、肺がんなどの初期には長引く咳が症状として現れる場合もあります。重大な病気を発見して、適切な治療につなげるためにも、症状に気付いたらできるだけ早くご相談にいらしてください。
咳喘息について
長引く咳の原因疾患として最も可能性が高いのは咳喘息です。咳喘息は、「喘息」とついていますが、ゼイゼイ・ヒューヒューする喘鳴はなく、空咳だけが続く状態です。咳喘息は放置していると気管支喘息に移行する可能性がありますが、早期に呼吸器科を受診して適切な治療を受けることで改善が可能です。咳の症状は、風邪や喫煙・ストレスなどをきっかけに続くようになって、症状が起こりやすいのは就寝時の深夜や夜明け頃が多くなります。気管支が知覚過敏を起こし、ちょっとした刺激で気管支の筋肉が痙攣して軽く収縮することで咳の発作を起こしますが、こうしたメカニズムは気管支喘息と共通しています。気管支喘息に移行させないためにも早期の受診と適切な治療が不可欠です。
咳喘息の検査と治療
呼吸器科では、咳喘息の診断のために呼気一酸化窒素濃度測定や気道抵抗検査を行います。呼気一酸化窒素濃度測定では患者様に息を一定の力で吐き続けていただいて、呼気に含まれる一酸化窒素の濃度を測定して診断します。検査後2分程度で解析結果が出るため、その日のうちに診断と適切な治療が可能になります。
咳喘息では咳止め薬の効果はほとんど得られないため、炎症を解消して症状を緩和させるために気管支拡張剤や吸入ステロイド薬による治療が重要です。吸入はしっかり指導を受けて正しい吸入方法をマスターしないと効果が半減してしまうデリケートな治療法です。当院では、丁寧な吸入のご指導を行っており、幼いお子様から高齢者の方まで、正しい吸入法をしっかりマスターされています。吸入指導を受けたことがなく、治療を続けても十分な効果を得られない場合にはご相談ください。